平成24年原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続を福島県内各地で実施するよう求める要望書

2012-02-01

平成24年原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続を
福島県内各地で実施するよう求める要望書

ふくしま原発損害賠償弁護団
共同代表 弁護士 岩 渕   敬
共同代表 弁護士 齋 藤 正 俊

1.

 ふくしま原発損害賠償弁護団(以下「当弁護団」という。)は,福島県弁護士会各支部(福島,白河,会津若松,いわき,相馬,郡山)所属の弁護士有志45名(平成24年1月18日現在)が参加し,東京電力福島第一・第二原子力発電所事故の被害者に対する迅速かつ十分な損害賠償を実現すべく,主として貴事務所に対する和解仲介申立を行うことを企図して結成された弁護団です。

2.

 報道によれば,貴事務所は昨年12月,いわき市内において,仲介委員が出張して行う和解仲介手続を開始されたとのことです。これにより,いわき市内及びその近隣地域での避難生活を余儀なくされている被害者の方々が,地理的条件に伴う時間的・経済的負担を気にすることなく,貴事務所に対して和解仲介手続を申し立てることが可能になりました。これは,和解仲介手続の利便性を向上させる第一歩であり,大いに評価されるべきものです。

 他方,それ以外の地域(相双地方,中通り北部・南部,会津地方)においては,いわき市内において行われたような,仲介委員が出張して行う和解仲介手続が行われた,あるいは近日行われる予定であるとの報道には接しておりません。

 しかしながら,上記各地方においても,慣れない土地で,しかも仮設住宅・借り上げ住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている被害者が多数存在することは周知の事実です(なお,報道によれば,福島県内における避難者数は,平成23年12月28日時点で約9万6000人であり,そのうちの相当数が上記各地方に避難しているものと思われます)。これらの方々も,貴事務所所在地である郡山市に出向くには,地理的条件に伴う時間的・経済的負担が存在することは同じです。あるいは,地域によっては,いわき市内に避難されている方々よりも地理的条件が厳しい方がたくさんいます。

 例えば,南相馬市内に避難している方に対して,郡山市内にある貴事務所への出頭を求めるのは,いわき市内に避難している方に対して貴事務所への出頭を求めることよりも酷であると考えます。

 また,会津若松市内では,大熊町の約3400名(平成23年12月31日時点。同町ホームページによる)をはじめとして多くの方が避難生活を余儀なくされていますが,現在,会津地方は雪深い真冬です。慣れない雪道を通って,貴事務所への出頭を求めることも酷ではないでしょうか。
これは,弁護士に仲介申立手続を依頼した場合でも同じです。仲介委員に対して被害者が直接訴えることで,被害の深刻さがより具体的に伝わりますし,そのような要望をする依頼者も今後必ず出てくると考えられるからです。

 そもそも,何の落ち度もない被害者が,1回当たり往復数時間の時間と,相応の交通費を負担して賠償金を受け取る手続のために遠隔地に行かなければならないとすれば,それは,被害者に二次被害を強いるものといっても過言ではありません。

3.

 原子力発電所事故の被害者に対する迅速かつ十分な損害賠償を実現するという目的は,立場の違いこそあれ,当弁護団にも貴事務所にも共通のものであると認識しております。また,いわき市内で仲介委員が出張して行う和解仲介手続ができて,福島県内の他地方ではできないということはないはずです。

 そうであれば,福島県内各地に避難している被害者の方々が,さらに貴事務所の和解仲介手続を利用しやすくなるようにするのが,貴事務所の責務であると思料いたします。

4.

 以上から,当弁護団は,貴事務所の和解仲介手続を,申請人や申請人代理人の希望に応じ,申請人の現居住地において行うことを切に要望します。

 繰り返しになりますが,仲介委員が出張して行う和解仲介手続がいわき市内でできて,福島県内の他地方ではできないということはないはずです。是非,迅速かつ前向きな対応をお願いいたします。

以上
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