東京電力の和解案受諾拒絶に対する声明

2012-02-02
2012(平成24)年2月1日

東京電力の和解案受諾拒絶に対する声明

ふくしま原発損害賠償弁護団
共同代表 弁護士  岩 渕   敬
共同代表 弁護士  齊 藤 正 俊

【声明の趣旨】

 当弁護団は,
 東京電力の和解案受諾拒否に対し,強く抗議するとともに,紛争解決センターの示した和解案を尊重し,速やかに受諾すること

 同時に,国に対し,東京電力が「5つのお約束」を遵守し和解案を直ちに受諾するよう指導監督を強化することを求めるとともに,紛争解決センターの和解案に東京電力に対する拘束力を付与することも含め,被害者に対する迅速かつ完全な賠償がなされるための施策を講じること
を求める。

【声明の理由】

 東京電力株式会社(以下,「東京電力」という。)は、2012年(平成24年)1月26日,原子力損害賠償紛争解決センター(以下,「紛争解決センター」という。)が示していた和解仲介申立案件に関する和解案に対し回答した。

 その内容は,和解案のうち,財産価値の減少に対する賠償等を受け入れるとしつつも,慰謝料の増額を拒否し,仮払補償金との即時精算を求め,和解案があえて示さなかった精算条項の明記を求めるなど,和解案の重要部分を拒絶したものであり,被害者の視点からは,決して容認できないものである。このような東京電力の姿勢は,同時に,紛争の迅速簡便な解決という、今回の未曾有の被害をもたらした事故のために設けられた紛争解決センターの存在意義を骨抜きにしようとするものである。 
 東京電力は,和解案の重要部分を拒絶する理由として,既に東京電力が行っている本払請求実務への影響も挙げているが,これは,被害者の救済よりも,東京電力の事務処理の都合を優先させるということに等しく,東京電力の姿勢は極めて横暴といわざるを得ない。

 東京電力は,政府からの資金援助を受ける条件として,昨年10月28日,特別事業計画を申請した。この特別事業計画には,「被害者の方々の立場に立ち,紛争処理の迅速化に積極的に貢献するため,原子力損害賠償紛争審査会において提示される和解案については,東電として,これを尊重」するなどとした「5つのお約束」が含まれている。紛争解決センターの示した和解案を尊重し,受諾することは,いわば,東京電力自身の国及び国民に対する約束である。

 東京電力がこのような約束をしたにもかかわらず,前記のように和解案の重要部分を拒否することは,紛争解決センターに対する被害者の期待を損ない,ひいては,迅速かつ適切な損害賠償の実現を妨げることとなる。

 よって当弁護団は,東京電力の和解案受諾拒否に対し,強く抗議するとともに,紛争解決センターの示した和解案を尊重し,速やかに受諾することを求めるものである。
 同時に,国に対し,東京電力が「5つのお約束」を遵守し和解案を直ちに受諾するよう指導監督を強化することを求めるとともに,紛争解決センターの和解案に東京電力に対する拘束力を付与することも含め,被害者に対する迅速かつ完全な賠償がなされるための施策を講じることを求める。

以上
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